JARCLIVE5

JARC LIVE 7 度を高めていく頭脳として工学(エンジニアリング)とい う発想が必要なのです。工学部では生活環境の中にあ るすべてのモノや仕組みを作るために必要な技術や知 識を学びます。学んだことを活かしてモノを作ることで、 人や社会を豊かにすることができます。つまりエンジニア リングはテクノロジーとサービスをつなぐものなのです。 ルームサービスの自動化も実現可能 例えばルームサービスを自動化してカレーを注文した 場合、客室内のスマートスピーカーを通してPMS から 専用冷凍庫、アームロボットを通じて調理ロボットへ、電 子レンジで温めた後、再びアームと取り出し搬送ロボット で自動的に客室まで料理を運ぶことができます。それぞ れは最新のテクノロジーにより開発されたものですが、そ れをいかに融合させて省人化させるとともに、顧客にスト レスを与えない満足度を高めることができます。 おそらく、今後は 24 時間営業のコンビニエンストアや 飲食店も減少することでしょう。その一方で空港 24 時 間体制が進み、深夜に到着した搭乗者がホテルにチェッ クイン後に食するものがない状況が想定できます。この ようなとき、ルームサービスの自動化が生産性、効率性、 顧客満足度ともに効果を得ることができるのです。 客室清掃の完成度においても画像認識を繰り返すこ とで効果を高めていくことができます。最先端のものでも 誤作動はあります。例えば送られてきた画像に映ってい るベッドのシワをゴミと判定したりもします。画像認識の 精度を高めていくためには何枚も積み重ねて解析を繰り 返し学習させることで、より確実性の高い判断をするこ とができます。そうすることでより快適で清潔な客室を提 供することが可能となり、インスペクションにおける人件 費の削減や労働の省力化が実現できます。 ブッフェスタイルの朝食も混み具合や空いている席を 客室システムと連動させることで、会場で待たされること なく、また希望の席を確保することができます。中には 朝食会場の動画情報を配信すれば良いという考えもあ るでしょうが、個々の情報を開示することになります。個 人情報の開示はサービス業、ホスピタリティ業という業 種においては踏み込めない領域です。つまりエンジニア リングは最先端のテクノロジーと人として、関わる業界と してあるべき姿の 2 つの領域を理解し、柔軟性を持ち ながら実証データ解析などを背景にどのように融合させ、 1つのパッケージとして形を作り上げていくという役目があ るのです。 日本の宿泊施設もこのようなサービスモデルをクリエイ ティブできる人材を育てる土壌ができれば、合理化や効 率化のみならず、業務改善や生産性も向上することで しょう。さらに近い将来、この運営手法が世界に誇れる ビジネスモデルになると確信しています。 PMS のタップからホテルエンジニアリングへ タップでは本年 10 月にヒューマンサービスとテクノロ ジーを融合したテクノロジーサービス開発や宿泊施設の 生産性向上を工学の視点から考察する「ホスピタリティ サービス工学研究所」を開設しました。また宿泊業を目 指す専門学生に向けたホテルシステムを操作するため に必要な知識や技術を習得する「タップ検定」の実施 や、来春開校する日本工学院専門学校 ITカレッジホテ ルコース、ホスピタリティサービス工学分野への全面協 力をさせていただいております。 2021 年春には沖縄県 IT 津梁パーク敷地内に、宿 泊施設へ向けた「実証実験ホテル」の開業準備を進 めています。宿泊業は自動車メーカーのようにテストドラ イブできる施設がありません。それは相手が人だからで す。 運営をしながらテストすることは危険を伴う可能性があ るからです。そうならないためにも導入前にテクノロジー サービスの実験や実証ができるホテルがあれば、開業 時点から新たなサービスを導入することができます。最 先端のテクノロジーを持つ人材がワイワイと集まり、ホテ ル最先端のホスピタリティサービス工学を発信するステー ションとして宿泊業界に貢献していきます。まさにこれが 32 年間歩んできたタップの経営理念でもあります。これ からは PMS のタップからホテルエンジニアリングのタップ として飛躍していきたいと思います。 1 人でも多くのホテル関係者やこれからホテルを目指 す次世代、そして工学を学ぶ者にあらたな活路を見出 すきっかけになれれば本望です。JARC は宿泊施設を 支える関連企業が中心となり構成されています。ぜひ、 新たな取り組みに賛同いただき、また同志の仲間を増や し、大いなる協会の発展を願っています。 H o s p i t a l i t y S e r v i c e

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