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12 日本には古くは病を癒すための湯 治文化や心身ともにリラックスできる 温泉があるものの、なかなかウェルネ ス文化が浸透していません。しかし、 健康意識調査では健康だと思ってい る人は30%で、対象となった28カ 国中下位にあり、健康に対する意識 が低いことが現状です。病気にかかっ たら医者へ行けば良いという意識が 強く、病気にならないようにするため への関心が低いのです。そのため日 本人がウェルネスツアーを企画するこ とは難しい状況にあリます。 新たな観光方法としてこれまで気づ かれていなかった観光資源を活用し た「ウェルネスツーリズム」は観光庁 の “ ニューツーリズム ”として提唱され ました。日本のウェルネスツーリズム は病気治療は行なわず、健康促進 および維持、予防を主たる目的とし、 日本において温泉やスパ、森林浴、 和食が体感できること、長寿国日本 ならではの食事、生活習慣を前面に 訴求することにあリます。 認知させるための重要ポイントは安 全性、有効性(プログラム構成や参 加者とのコミュニケーションの有無)、 価値創造性(地域資源の活用や重 要性を理解していること)、宗教(宗 教による食事制限や温泉ではだかに なることへの抵抗)の 4 つを掲げまし た。 インドではマハラジャの宮殿周辺を 改装したリゾート「インドアナンダ・イン・ ザ・ヒマラヤズ」にて、インド伝統医 学アーユルヴェーダのほか、古代エ ジプトからアジアまで世界中の医療、 美容に関する知識を結集したプログ ラムを提供しています。マッサージや ヨガ、食事などの生活習慣など「体・ 心・生き方」の 3 つをケアしています。 アーユルヴェーダは東洋医学であると ともにバランスの医学と言われ、生 活様式そのものを医療と捉え心身と もに健康増進を図ることを目的として います。“ 気持ちいい ”という心地良 さを感じるといいます。一方、西洋 医学は個々の体質や心はさておき、 病気の原因となるものを見つけてピン ポイントで駆逐していく手法です。自 然体で治療、未病できるアーユル ヴェーダは注目されツアー人気が高 まっているといいます。 タイでは王族の保養地、リゾート 地にある“安寧の隠れ家”を意味する 「チバソム」はヘルスツーリズムを主 流に展開しています。ウェルネス観 光定義としてルーツ・オリジナリティ・ 食・Well-geing(良好な状態)を掲げ、 オリジナリティな理学療法や美容技 術、スパや指先にある「井穴」に針 を刺すという療法を施しています。食 は栄養学に基づいた地元魚介を使っ たシーフード・キュイジーヌなどを提供、 良好な状態を追求するために専門ス タッフによるメディカルチェックやエク ササイズレッスンなど各人ごとにプログ ラムを組んでいます。 白井浩一社長は日本におけるウェ ネスツアーのプログラムに向けて、ま ずは健康に対する意識改革が必要で あるとし、鍼灸の国家資格を取得す るための東京有明医療大学・大学 院にてSPA、エステを融合させた科 目を設置し、医療と美容技術を持ち 合わせたスペシャリストの育成、輩出 を行なっていく計画です。また新潟・ 六日町温泉の「温泉旅館御宿 龍 言」は今秋 10月のグランドオープン において庭園内の茶室を「禅スパ」 として開業します。日本の高級旅館 で展開することでウェルネスの必要性 を浸透させていきます。 日本の漢方薬は、歴史は短くても 極めているといい、また醗酵物のミソ など先人たちから伝わる未病手法が 残されています。各地域に伝わるも のと医療や美容、食をアレンジするこ とで日本にしかないウェルネスツアー の構築は実現できるでしょう。 健康に対する 日本人の意識改革必須 白井 浩一氏 五十嵐 洋子氏 高 韮氏 川島 朗氏 ㈱クレドインターナショナル /ワールド ウエルネスビューティー運営 代表取締役 ㈱インターリテラシー 執行役員 医療アナリスト SpaChina Director/Editor in Chief 東京有明医療大学 保険医療学部鍼灸学科 教授 第 15 回 JARCゼミナール「デスティネーションとなる土地の文化を生かしたウエルネスビジネス」 JARC SEMINAR 温泉・SPA・鍼灸・和食など 日本独自のウェルネスツアーを 2019 年 6 月6日(木)

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