10 いかに消費額を 引き上げていくべきか JNTOが富裕層を対象としたラグ ジュアリーツーリズムプロモーションを 行っている目的は2 つあります。 4000 万人、8000 万人というイ ンバウンドの数だけを求めるのではな く、いかにして消費を上げていくかと いうことです。現在平均消費は15 万円ですが、欧米豪 5カ国の富裕 層 3 億 4100 万人を対象に調査をし た結果、総額で44 兆 2000 万円 消費し、その内、訪日された富裕層 のインバウンド客は831 億円消費し ていました。 富裕層市場は大きなものであり、今 後もまだまだ可能性を秘めていること が分かります。そのためにも富裕層 の多様なニーズに対応する松竹梅を 用意し、より満足していただくことで 消費を上げていくための活動促進を 図っていくことが必要であると考えま す。 もう1 つは高い消費額を投じる富 裕層は発信力を持つトレンドセッター であるという考えから、デスティネーショ ンにおける日本の価値を見いだして 発信していただくことにより、富裕層 マーケットの活性化につながるのでは と考えました。 加えて富裕層の定義づけを行いま した。富裕層を対象とした関係者に ヒアリングしたところ、資産であると 言い切られる方もいらっしゃいました が、議論の末、着地消費額が 100 万円以上と定義づけをいたしました。 オーストラリアでは旅行に投資するラ イフスタイルもあり、300 万円以上 の消費をしていますが、日本の場合、 現段階では高い消費額に対して対応 できるプレイヤーが少ないことから、ま ずは100 万円を目標値に掲げて富 裕層マーケットに対してアプローチを 開始し、徐々にハードルを上げていく ほうが良いのではということになりまし た。 富裕層の多様化で動き出した セレクトラグジュアリー 富裕層の旅行に対して求めている ことを調査すると、どうやら大きく2 つ の思考があることが分かりました。従 来型の富裕層は旅行に限らず生活 に関わる大半をコンシェルジュに任せ ています。旅行においてもステイタス やシンボル的なものを求め、特別扱 いをされることに優越感や満足感を感 じています。新たな富裕層は傾向と して自分にとって本物の体験や一生 に一度の体験やエコを重視していま す。前者をオールラグジュアリー、後 者をセレクトラグジュアリーと呼んでい ますが、いずれにしても富裕層の旅 行スタイルも多様化していることが分 かります。 特に後者のセレクトラグジュアリー タイプは自分たちでウェブサイトを介し て旅行の手配をしています。特にリ ピート地においては自身で手配してい るようです。来日の際に自分で手配 するかという質問に対して30%は自 身で手配をすると回答しています。回 答がなかった30%は訪日する気持ち がないということでした。 このような流れからこれまでは旅行 エージェントなど、観光業に関わる展 示会を中心に国内外で展示会などの プロモーション活動を中心に展開して きましたが、今後はB to C に向け た活動にも取り組んでいかなければな りません。例えば宿泊施設ネットワー クを束ねつつ、価格の質を上げて消 費者にアプローチしているホテルコン ソーシアムとの連携を促すための活 動や地域の観光地や観光産業に向 けた活動などに取り組んでいくことが 必要であると考えます。 そのためにもコンテンツ作りとして、 価値が必要であること、提供する人 が融通をきかせてきちんと対応するこ と、そしてきちんとした値段で販売で きる商品性が欠かせません。この部 分も明確にするとともに、プロモーター としてさまざまな活動を通して、民間 企業の皆様が活動できる土壌を作り 上げていきます。 〜着地消費額100万円を 富裕層と定義づけ〜 柏木 隆久氏 日本政府観光局(JNTO) 理事 第 13 回 JARCゼミナール JNTO ラグジュアリーツーリズムについて JARC SEMINAR 多様化する富裕層が求める 旅行のスタイルに向けた土壌作りに着手 2019 年 4 月25日(木)
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