JARCLIVE1

21 以前、日本版エグゼクティブ教育研究会にて JALF理事でもある伊藤邦雄先生から「日本の 企業は社員に対する研修費が総売上の1%に満 たない。他国の多国籍企業では5%になる企業 さえもある。このままでは日本の企業からプロ フェッショナルは育たない。」という耳を疑う お話がありました。さらに「日本の企業は研究 開発費が総売上の1%に満たない。他国の多国 籍企業だと5%になる企業さえもある。このま までは日本の企業から新技術が育たない。」と も続けられました。この悲惨な実態がグローバ ル視点で見た日本の姿なのです。 研究開発やプロフェショナル育成などは異世 界の話で他人事であると考えている宿泊施設経 営者がいらっしゃるとすれば、これはなかなか 厳しいご認識だと言わざるを得ません。業種を 問わず人材需給が年々逼迫する中で、3Kとラ ベリングされている最不人気業界に明るい兆し が差し込むことはありません。辞めた者の代わ りに莫大な費用をかけて採用活動を行なうと共 に、雇用を継続させなければと唐突に「研修」 をはじめても、最終的には「効果が感じられな い」「ノウハウを抱えて転職された」という結 論になってしまうことは多くあります。 「研修」は必要です。しかし、研修の本質が 理解されず、研修だけがひとり歩きしているよ うに思える状況にあります。 JALF理事でもある星野リゾート代表の星野 佳路氏も、事業を引き継いだ当時、最も苦労し たことが人材の採用と継続だったと話されてい ます。リゾートや日本旅館の多くの職場は地方 にあり、今以上に地方で働くことに対するネガ ティブ意識が強い時代だったため、「どうした ら入社していただき継続して働いてもらえるの かが最重要課題であった。」と。しかし、その 課題に直面することにより、組織のあり方を考 えるチャンスにめぐり合え、今の星野リゾート の組織文化が構築されたのです。 「私たちが気づいたのは、仕事が楽しくなけ れば人は来てくれない、単に必要な仕事をお願 いするばかりでは、社員はいずれ辞めていって しまうという単純な原理です。」 雇用主が求めているのは、決められた手順を そつなくこなして指示に従うだけでなく、それ 以上の貢献ができるタイプです。つまり、自ら 学習し、問題を解決し、鋭い疑問を投げかける 意欲のある人材です。彼らはモチベーションを 高く持ち、自発的に考えて行動し、自分たち がやりたいことを実現するまで粘り強く取り組 み、あきらめません。 そんな人材の宝庫を作る方法は次回!(続く) 伊藤泰斗:JALF財団法人宿泊施設活性化機構事務局長 伊藤泰斗のロジロジロジック 研修は必要か不必要か(1) 伊藤 泰斗

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