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13 これからの日本は今までどこの先進国も経験 したことのない人口激減時代に入っていきま す。2015年から2060年までの間に3264万人の生 産年齢(15-64歳)の日本人が減少すると予想 されています。それは世界経済では第5位の英 国を支えている労働者3221万人を上回る規模で す。労働者が減り、人手不足の問題が深刻化す るだけでなく、消費者、とりわけ消費活動が最 も活発な年代の日本人が激減する時代に差しか かっているのです。 政府はそれを先見して、減少していく日本人 観光客に代わり、訪日外国人の増加を目指して、 新しい需要源を開拓しています。それには当然 反対の声はありますが、内需だけで成立してい た時代が終わりつつある中で、訪日外国人を受 け入れたくないという考え方は短絡的過ぎて、 賛同できません。避けて通れない訪日観光戦略 と賢く共存し、どのように実現していくかが課 題だと思います。 当然ながら、訪日外国人戦略を実践する上で 最も重要なのは宿泊施設です。観光予算の約 49%が宿泊と食で占めているというデータがあ りますので、国内観光戦略以上に重要です。 また、観光戦略は「多様性」がキーワードで す。旅館、ビジネスホテル、民泊、5つ星、4つ 星など、すべてが揃って初めて日本の素晴らし い観光産業の潜在能力が掘り起こされます。 当然ながら、海外からの観光客は日本人以上 に時間とお金を投資して日本に来てくれます。 言葉や情報、楽しみ方もホテルに依存すること が多いのです。海外では良いホテルは良いハー ド面であるのは当然ですが、決定的な違いは宿 泊客にどこまで臨機応変に対応できるかという ことです。 そもそも外国人観光客は「(いい意味での) 暇な人」。宿泊施設はその暇つぶしのお付き合 いをサービスするという考えで、館内にいる時 間のみならず、館外へ出かけている時間もまた 楽しんでもらうことに対して、いかに貢献が出 来るか、どこまで対応することによって稼げる か、に大きなビジネスチャンスがあります。 これまでの観光業以上に、利益に繋げられる チャンスが目の前にあります。ビジネスモデル を調整して、新しいニーズを探り、それに応え ることによって、業界のさらなる発展に大きく 期待しております。 アドバイザリーボード 株式会社 小西美術工藝社代表取締役社長 デービッドアトキンソン

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